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「入院したとき、保険がないと困るよね?」
そう思って医療保険に入り続けている方が多いのですが、実は日本には「高額療養費制度」という強力な公的制度があって、これを知らずに民間の医療保険料を払い続けるのは、もったいないかもしれません。
今回は、40代に医療保険が本当に必要かどうかを、高額療養費制度の仕組みと実際の入院費データをもとに、FPの村松先生がズバリ解説します。
そもそも高額療養費制度って何?
先生、高額療養費制度って聞いたことはあるんですが、実際にどんな仕組みなんですか?
簡単に言うと、「1か月に支払う医療費の自己負担額に上限が設けられている」制度です。手術や入院でどんなに医療費がかかっても、自己負担は一定額を超えないんです。
えっ、そんな制度があるんですか!?知らなかった…。
意外と知られていないんですよ。たとえば年収370万〜770万円程度の一般的な会社員なら、1か月の自己負担上限は約8万7,430円(2024年度)。それを超えた分は後から払い戻しを受けられます。
| 所得区分 | 年収の目安 | 自己負担の上限額(月) |
|---|---|---|
| 区分ア(高所得) | 約1,160万円以上 | 252,600円+(医療費−842,000円)×1% |
| 区分イ | 約770万〜1,160万円 | 167,400円+(医療費−558,000円)×1% |
| 区分ウ(一般) | 約370万〜770万円 | 80,100円+(医療費−267,000円)×1% |
| 区分エ(低所得) | 約370万円以下 | 57,600円 |
| 区分オ(住民税非課税) | — | 35,400円 |
つまり、年収500万円の方が手術で医療費が100万円かかっても、自己負担は約8.7万円程度で済む計算になります。残りは健康保険が払ってくれるんです。
100万円の手術が9万円以下になるの!?それは知らなかった。じゃあ医療保険って要らないんじゃ…。
それが「答えは人による」なんです。制度でカバーされる費用は大きいですが、カバーされない費用もあるんですよ。
高額療養費制度でカバーされない費用がある
高額療養費の対象外になる費用
- 差額ベッド代:個室・準個室を希望した場合、1日5,000〜2万円程度が自己負担
- 食事代:1食460円(2024年度)、3食で月約4万円程度
- 先進医療の技術料:保険適用外の治療(がん陽子線治療など)は別途高額
- 交通費:通院・家族の見舞いにかかる交通費
- 仕事を休んだ収入減少:傷病手当金(会社員)でカバーされる部分もあるが、自営業者は自己負担
実際に1か月入院したとして、かかる費用の目安を見てみましょう。高額療養費は効いていますが、それ以外の費用が積み重なります。
| 費用の種類 | 金額の目安 | 高額療養費の対象 |
|---|---|---|
| 医療費の自己負担(3割) | → 高額療養費で上限約8.7万円 | ○ |
| 差額ベッド代(個室1日5,000円) | 約15万円(30日) | ×(全額自己負担) |
| 食事代 | 約4万円(30日・3食) | ×(一部負担) |
| その他(日用品・交通費等) | 約1〜2万円 | × |
| 合計(目安) | 約28〜30万円 | — |
個室に入ると1か月で30万円くらいかかるんですね。それは用意しておかないと不安…。
ただ個室じゃなくて大部屋を選べば、差額ベッド代はゼロです。その場合は月10〜15万円程度が実際の出費になります。貯蓄があれば十分対応できる金額ですよね。
「医療保険が不要」と言える人の条件
実は、一定の条件がそろっている方は医療保険に頼らなくてもいいんです。それが「貯蓄で対応できる人」です。
貯蓄がどれくらいあれば大丈夫なんですか?
目安として300万円以上の流動資産があれば、大抵の入院には対応できます。高額療養費制度で医療費の上限が抑えられる上に、1か月入院しても30万円程度ですから。3か月入院しても100万円程度です。
医療保険が「不要」と考えられる人の判断基準
- 流動資産(すぐ使えるお金)が300万円以上ある
- 会社員で傷病手当金(最長1年6か月、給与の3分の2)が受け取れる
- 大部屋でも気にしない(差額ベッド代が発生しない)
- 先進医療への強いこだわりがない
- 健康状態が良好で、持病がない
医療保険が「必要」と考えられる人の判断基準
- 貯蓄が少なく(目安100万円以下)、急な出費に対応できない
- 自営業・フリーランスで傷病手当金がない
- 個室など入院時の環境にこだわる
- 家族に持病があり、長期入院・治療のリスクが高い
- 精神的な安心感として医療保険が必要だと感じる
がん保険との違い:がんだけは別で考えるべき理由
医療保険は縮小・解約を検討できる方でも、がん保険だけは別で持っておく意味があると思います。
どうしてですか?高額療養費制度があれば一緒じゃないんですか?
がんは治療期間が長く、抗がん剤治療・放射線治療・手術と複数のフェーズがあります。通院治療が主流になってきた今、入院日数は少ないのに通院治療費は数か月〜数年にわたって発生するケースが増えています。また先進医療(陽子線治療など)の技術料は数十万〜300万円以上かかることも。
| 項目 | 一般医療保険 | がん保険 |
|---|---|---|
| 保障の対象 | 病気・ケガ全般の入院・手術 | がんの診断・入院・手術・通院・先進医療 |
| 診断一時金 | なし(保険によりある) | 50万〜100万円が一般的 |
| 通院保障 | 限定的 | 手厚い(抗がん剤・放射線治療も対象) |
| 先進医療特約 | オプション | 多くが標準装備 |
| 月額保険料(目安・40歳) | 3,000〜8,000円 | 2,000〜4,000円 |
つまり「医療保険を縮小してがん保険だけ持つ」という戦略が、コストパフォーマンス的に合理的なケースが多いんです。医療保険料を月5,000円から2,000円のがん保険に切り替えれば、月3,000円・年間3.6万円の節約になります。
まとめ:まずは「貯蓄額」と「傷病手当金の有無」を確認しよう
さおりさん、今日の話のポイントをまとめると、高額療養費制度で医療費の自己負担には上限がある(一般的な年収なら月約8.7万円)。貯蓄が300万円以上あって会社員なら、医療保険なしでも対応できる可能性が高い。ただしがん保険は別途検討する価値があります。
まず高額療養費制度の仕組みをちゃんと理解して、保険を「念のため」で払い続けていないか確認してみます。貯蓄が300万円以上あるかどうかも確認しないと。
その通りです。医療保険を「見直す」ことは「リスクを放棄する」ことではありません。公的制度を正しく理解した上で、本当に必要な保障に絞ることが、賢い固定費削減の第一歩です。
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